プレ更年期

■ はじめに
通常、更年期は閉経の前後5年間(約10年間)くらいをさします。おおむね45〜55歳くらいが更年期の年齢です。この時期は急激な女性ホルモンの減少により、自律神経失調症状を含めた様々な症状が出現します。しかし現代女性では、ライフスタイルの変化などにともない30代後半から女性ホルモンが減少して更年期障害と同様の症状に悩まされる女性が増えており、プレ更年期として注目されています。昔の女性は結婚も早く多産であったので、妊娠期間自体が卵巣機能(排卵・月経)の休止期間になっていました。しかし現代女性は晩婚で出産回数も少ないため、卵巣は休まずにずっと働き続けているため、若い年齢から卵巣機能が低下する傾向にあります。(昔の女性は生涯の月経回数は50−100回程度でしたが、現代女性は450−500回もの月経回数があります)。また仕事・育児・家事などの様々なストレスもプレ更年期の原因の一つになっています。

■ 症状

  1. 循環器系の症状
    ほてり、冷え、異常発汗、動悸など
  2. 精神神経系の症状
    イライラ、不安、不眠、もの忘れ、頭痛、めまい、耳鳴り、しびれ、知覚過敏など
  3. 運動器系の症状
    肩こり、腰痛、軽い筋肉痛、関節痛、骨痛など
  4. 胃腸の系の症状
    悪心、おう吐、腹痛、便秘、下痢、腹部膨満、食欲低下など
  5. 泌尿器系の症状
    月経周期の変化、月経量の変化、月経痛の出現
  6. 月経異常
    月経周期の変化、月経量の変化、月経痛の出現

■ 診断
プレ更年期と診断するためには、他に病気が隠れていないかどうか検査する必要があります。上記症状を示す病気には、甲状腺の病気(バセドウ病や橋本病)、安静や休息にても全く疲労が回復しない慢性疲労症候群、筋肉に著明な圧痛とこわばりを認める線維筋痛症、慢性関節リウマチ・シェーグレン症候群などの膠原病、うつ病、自律神経失調症、月経前症候群など様々な病気を鑑別する必要があります。
血液検査では女性ホルモン(エストロゲン)の低下が診断の参考所見になります。

■ 治療
プレ更年期障害の治療には、食事や運動など生活習慣の改善・アロマテラピー・鍼(はり)・適量の大豆イソフラボンサプリメントの補給・薬物治療などがあります。薬物治療としては自律神経調節剤・安定剤・漢方薬・低容量ピル(2種類の女性ホルモンを含む)などが処方されます。どの治療にも長所と短所はありますが、女性ホルモン(エストロゲン)には悪玉コレステロールを減少させたり、骨粗しょう症を予防する効果が知られています。主治医とよく相談して自分に適した治療を選択して下さい。
自分の体に変化を感じたたら、来るべき更年期を快適に過ごすためにも早めに受診する事をお勧めします。