亜急性壊死性リンパ節炎
■ はじめに
壊死性リンパ節炎は、1972年に菊池らにより報告された原因不明の高熱とリンパ節腫脹をきたす病気ですが、1〜3か月で良好な経過をとる良性のリンパ節疾患です。原因にはウィルス説、アレルギー説、局所の異常免疫反応説などが想定されていますが、はっきりした原因は分かっていません。
■ 頻度と性差
本症は四歳から七十五歳まで幅広くみられますが、比較的若年層に多い傾向にあり、特に10−30代の女性に多く、男女比は1:2−3です。
■ 症状
症状は発熱、リンパ節の腫れが主体で、そのほか皮膚の発疹(ほっしん)を伴う場合があります。38度以上の発熱が一週間続くこともあり、無治療では熱は一カ月近く熱が下がらないこともあります。リンパ節の腫れは風邪のような症状の後に起き、場所は首のリンパ節が圧倒的に多く、次いで脇の下のリンパ節です。またそれらのほとんどは痛みを伴っています。リンパが腫れる部位は、首のリンパ節が圧倒的に多く、次いでわきの下のリンパ節などです。発疹は一過性で、出る時期は一定していないようですが、高熱が続く時や症状の強い場合に多く見られます。そのほか扁桃(へんとう)が腫れることもしばしばあります。
■ 検査所見
末しょう血の白血球が減る傾向にあり、減った状態は数日から数十日続きます。しかし症状が回復するにつれ、正常値に戻ります。また、肝機能の働きを示す酵素ALTやAST、LDHの上昇や、赤沈の促進、炎症反応を示すCRPの上昇をみることもあります。
■ 診断と鑑別疾患
診断は、前述したような特徴のある臨床症状、検査などによって行いますが、最終診断のために組織の一部を取るリンパ節生検が必要になる場合もあります。鑑別診断として、伝染性単核球症(EBウィルス感染症)、サルコイドーシス、結核性リンパ節炎、血球貪食症候群、トキソプラアズマ感染症などがあげられます。
■ 治療
抗生剤は一般的には無効です。発熱や頸部痛に対して、非ステロイド系鎮痛下熱剤を投与されますが、高熱が持続したりリンパ節痛が強い場合にはステロイド剤の内服が著効します。予後良好の病気であり、ほとんどの症例は1−3ヶ月で自然に治癒しますが、時に再発を経験します。