はじめに

はじめに手術予定日と月経が重なる時には、医学的必要性から患者さんの予定月経を移動する事がありますが、日常生活においても本人の希望で月経をずらす事が可能です。旅行・入学試験・結婚式などが月経と重なり、困った事はありませんか?これらの予定日と次の月経が重なりそうな場合には、低容量ピルまたは中容量ピルを内服して月経をずらす事が出来ます。月経移動には①次回の月経を早める方法と、②次回の月経を遅らせる方法があります。ピルの服用によって人為的に移動された月経も、自然に発来した月経も特に違いはありません。ですから薬で月経を移動したとしても、その次の月経は普段通り来るので特に問題はありません。

当クリニックでは、月経移動に関しては問診や血液検査のみでもピル処方が可能ですので、悩まずに御相談下さい。

次回の月経を早める方法は?

月経初日から数えて5日目以内よりピルを内服します。中容量ピルなら約10日間、低容量ピルなら約14日間内服します。ピル内服終了後の2〜4日目から出血(特に低容量ピルでは普段より少量の出血)が始まります。そうすると、予定月経を7−10日間前後早める事が出来ます。この方法を希望の方は、なるべく早く受診して下さい。
利点:月経を避けたい期間(旅行中や試験日)に、薬を飲まなくてよい。
欠点:薬の内服期間中に少量の出血が持続する可能性がある(特に低容量ピルで)。

次回の月経を遅らせる方法は?

予定月経初日の5〜7日前から、月経を延長したい日(たとえば旅行の最終日)まで中容量ピルを内服します。そうすると旅行から戻った2〜4日後に出血が始まります。この方法では、排卵日以降にピルを内服するので、妊娠の可能性が無いことが条件になります。
利点:正しく服用すればほぼ確実に月経が遅れる。
欠点:ピル内服による副作用がでた場合には、旅行日や試験日が逆に辛くなる事です。

*普段から低容量ピルを内服している方は、月経を遅らせたい日まで薬を継続して内服すると、次の月経を確実にずらす事ができます。

ピル内服による注意事項はありますか?

ピルは1日1回1錠を24時間毎にきちんと内服する必要があります。服用を忘れると不正出血が起きたり、ホルモンバランスが崩れて効果が出ません。
ピル内服による副作用として、悪心・嘔吐・頭痛・乳房痛などが出現する事があり、中容量ピルでその頻度が高くなります。月経を遅らせる場合には、月経を避けたい期間(旅行中や試験日)にも薬を飲みますから、悪心・嘔吐などの副作用があった場合には、逆に旅行や試験日が辛くなります。低容量ピルではホルモン量が少ないため、薬の内服中に少量の出血が持続する事があります。

また妊娠の可能性のある方、肝臓の悪い方、ヘビースモーカーや血栓症の既往歴のある方などにピルは処方出来ません。

低容量ピルと中容量ピルの比較

女性ホルモンの含有量:中容量ピルは低容量ピルの約2倍
ピル内服による副作用の出現:中容量ピル>低容量ピル
ピル内服中の不正出血:低容量ピル>中容量ピル
月経移動の確実性:中容量ピル>低容量ピル
ピル内服終了後の出血量:中容量ピル>低容量ピル

具体例

1月1日が月経の初日、28日周期で次回の月経開始は1月29日予定。
1月27日から2月2日(6泊7日)まで旅行に行くので、月経をずらしたい。

月経を早める場合(*目安ですので、多少は前後します)

①中容量ピルでは 1月5日から14日まで10日間内服する
1月17日から23日まで約1週間出血する
②低容量ピルでは 1月3日から16日まで14日間内服する
1月19日より23日まで約5日間出血する

月経を遅らせる場合(*目安ですので、多少は前後します)

①中容量ピルでは 1月24日から2月2日(旅行の最終日)まで10日間内服する
2月5日より11日まで約1週間出血する
②低容量ピルでは 1月5日から2月2日(旅行の最終日)まで29日間内服する
2月5日より9日まで約5日間出血する
*服用期間が長いので、初めてピルを内服する人にはお勧め出来ません。