子宮筋腫
■ はじめに
子宮の筋肉は、月経やお産の時に子宮を収縮させる働きをしています。子宮筋腫は子宮の筋肉が腫瘍化して出来た良性の病気(平滑筋腫)です。
子宮筋腫は女性ホルモンの分泌と深く関連していますので、一般的に思春期前に見られることはなく、閉経してから新しく出来たり大きくなったりすることもありません。35歳以上の女性では約20%に大なり小なり子宮筋腫があるとされていますが、そのうち症状があるのは3−4人に1人程度です。また子宮筋腫の大きさは小さいものから大きいもの、数も一個の患者さんから数十個の患者さんまでバラバラです。
■ 子宮筋腫はできる場所によって主に3つのタイプに分けられます
- 筋層内筋腫:子宮筋層内にできる筋腫で、筋腫が発育すると周囲の筋層も厚くなります。
子宮筋腫で最も多いタイプです。 - 漿膜下筋腫:子宮の表面をおおう漿膜の下にでき、子宮の外側に向かって、こぶのように成長します。
症状が少ないタイプです。 - 粘膜下筋腫:子宮粘膜の下にでき、子宮内腔に向かって突き出るように発育します。
一番症状が辛いタイプです。
根元に茎のあるものを「有茎性筋腫」といいます。
■ 子宮筋腫の症状は
子宮筋腫が出来ている女性のうち、症状があるのは3−4人に1人程度ですが、筋腫のある場所や大きさにより、種類も程度も異なります。
代表的な症状としては、
- 月経量が多く、その結果、貧血状態(鉄欠乏性貧血)になることがある→粘膜下筋腫で多い。
- 月経痛がひどく、薬を服用しても痛みが良くならない
- うずらの卵大の血のかたまり(レバー状)が出る
- 下腹部部に、しこりが触れる
- 不正出血がある
- 筋腫が大きくなり周りの膀胱を圧迫すると尿が近くなったり、腸を圧迫して便秘になることもあります→漿膜下筋腫で多い。
- 筋腫が不妊の原因になることもあります。
■ 治療法
- 閉経で女性ホルモンが低下すると徐々に縮小するため、無症状—症状が軽微な場合には治療は不要です
- 薬物療法
- 低容量ピル:月経量が多いときに有効です
- GnRHアナログ(ゴナドトロピン放出ホルモンの効果抑制):人工的に女性ホルモンを低下させ閉経状態を作る治療です。1ヶ月に1度の注射を6ヶ月続けて行います。副作用として更年期障害と同様の症状が出ることがあり、継続困難のこともあります。筋腫は小さくなりますが、治療を止めるとゆっくりと元のサイズに戻ります。
- 手術療法
子宮筋腫核出術:筋腫のみ切除して子宮は温存します
子宮全摘出手術